こんにちは!長男+男女双子(次男・長女)の3兄弟の母、makeです。
妊娠・出産費用、思ったよりかかってしまって家計がひっ迫しそうと思っていませんか?
節税して少しでも取り返しましょう!
たくさん出て行ったお金を集計して、税額が下がるように申請しないともったいない…!
今回は「医療費控除とは何か?」「夫婦のどちらが申請した方がお得か?」をお話していきたいと思います。
以前に投稿した出産前後でもらえるお金(主に双子の出産時)のお話はこちらです↓
双子を出産する時もらえるお金は?~赤ちゃんの入院時の助成制度も要チェック~
医療費控除とは?

医療費控除の説明が不要の方は、説明部分が長くなりますので、第2章「夫婦のどちらが申請した方がいいの?」へお進みください。
その年の1月1日から12月31日までの間に自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合において、その支払った医療費が一定額を超えるときは、その医療費の額を基に計算される金額の所得控除を受けることができます。これを医療費控除といいます。
国税庁HPより
つまり、「申請者本人とその同居の家族+別居していても仕送り等で生活費を負担している家族」の①医療費を、 ②国が定めた計算式にあてはめて計算した金額分、③課税対象となる所得から引くことができる制度です。
※「控除」とは、一定の金額を差し引くという意味です。
※医療費控除額の上限は200万円です。
①医療費
医療費とは、通院・入院・治療時の医療費を指し、市販の風邪薬などの薬代や公共交通機関を使った交通費なども含めることができます。
詳しくは国税庁のHPの医療費控除の対象となる医療費をご覧ください。
今回は、出産費用で対象となる医療費をご説明します。
対象となる医療費 | 対象にならないもの |
---|---|
妊娠と診断されてからの健診や検査などの費用 | 人間ドッグ・健康診断・予防接種 |
不妊治療の費用 | 医師への謝礼 |
入院した部屋代 | 入院時のパジャマ・洗面具など |
医師の指示による差額ベッド代 | 自己都合による差額ベッド代 |
入院時の食事代 | 入院時の出前・外食代 |
通院時・入院時の交通費(公共交通機関利用時) | 里帰り出産による実家への帰省にかかる費用 |
入院時に緊急利用したタクシー代 | 緊急時以外のタクシー代 |
歯の治療代 | 車で通院した時のガソリン代 |
産後1か月健診・母乳外来費用 | 妊娠検査薬 |
新生児健診・赤ちゃんの1か月健診 | マタニティ衣料の購入代 |
ちなみに、赤ちゃんの紙オムツは医療費控除の対象外ですが、医師からオムツの使用が必要と認められた大人のオムツは対象になります。
どちらも同じように必要なものなのに、充分な議論が尽くされないまま分けられているのは非常に歯がゆいですね。
軽減税率の対象になっていないことも(これは大人用オムツも)含めて、子育て世代への負担が大きく、少子化への対策が十分にされているとは到底思えません。
話が逸れてしまい、失礼しました。
②国が定めた計算式
医療費の合計額 - A:保険金などで補てんされる金額 - B:10万円
= 医療費控除額
上記で計算した金額を課税対象の所得から引くことができます。
A:保険金などで補てんされる金額は、具体的には出産育児一時金や高額療養費制度の支給額、生命保険などの入院費給付金などを指します。
ただし、例えば出産費用が出産育児一時金より少なかったため還付された(戻ってきた)場合、その還付金を医療費の合計額から引く必要はありません。
「保険金などで補てんされる金額」は、その給付目的となった医療費からのみ差し引くことができるためです。
B:10万円は、その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%の金額です。
「総所得金額等」は、源泉徴収票で言うところの「給与所得控除後の金額」です。

総所得金額等が200万円の人の年収は296万円位(令和2年現在)です。
総所得金額等が200万以上の方は、医療費の合計が10万円以下なら控除額が0円になるので、その場合は申請する必要がありません。
ただ、もし医療費が10万円未満でも、総所得金額等が200万未満の方は医療費控除を受けられる可能性があります。
例えば、年収250万円、医療費合計額9万円の場合
年収250万円の場合は所得額が167万円になり、
167万×5%=83,500円
を医療費から引くことになります。
なので、A:保険金などで補填される金額が0円の場合、
90,000円-83,500円=6,500円が医療費控除額となります。
この総所得金額等200万未満の場合の特例が、後でご説明する「夫婦のどちらが申請した方がいいのか?」の話につながってきますので、要チェックです。
③課税対象となる所得
源泉徴収票で言うところの「給与所得控除後の金額」から「所得控除の額の合計額」を引いた額です。

この「所得控除の額の合計」が年末調整を行った結果の課税所得額であり、これに所得税率(所得額によって違います)をかけて所得税額が決まります。
つまり、②で計算した医療費控除額は、税額からそのまま引かれるわけではなく、課税所得額から引かれるのです。
その他
今回は産前産後の医療費控除のお話ですので、関連性の低いセルフメディケーション税制には触れていません。
医療費控除は確定申告で申請する必要があります。
お勤め先の年末調整に含めることはできませんのでご注意ください。
夫婦のどちらが申請した方がいいの?

一般的には、所得が高い人の方が控除額が大きいと言われています。
が、一概にそう言えない場合があります。
夫婦のどちらかが、課税収入がない場合
まず、その年の1月1日から継続して専業主婦(夫)の方や育休中の方の場合は、所得がないので医療費控除の申請はできません。
※育児休業給付金は、課税されない所得ですので、確定申告などの必要はありません。
ですので、収入のある方が医療費控除を申請することになります。
夫婦双方とも、年収(約)297万円以上の場合
「年収297万円以上」は、お勤めの方が給与収入のみを得ている場合を指しています。
この場合は、医療費から差し引く金額は2人とも同じで10万円です。
課税所得は金額が大きい程、税率が高くなるため、医療費控除が同じ額なら、所得の多い人の方が戻ってくる額も多くなります。
例)夫の年収が800万、妻の年収が400万で医療費合計が15万円の場合
夫の所得税額は10,000円、妻の所得税額は5,000円減額されるので、
夫が医療費控除を申請した方が多くお金が戻ってきます!
※詳しい計算式を以下に書き出しますので、確認不要な方は計算式を飛ばしてください。
● 夫:給与収入800万、控除額50万(基礎控除48万+生命保険料控除2万)の場合 ※基礎控除の額は令和2年分から改正されています。
所得控除 → 800万×10%+110万=190万
総所得金額等 → 800万-190万=610万
所得税額 → (610万-控除額50万)×20%-427,500=692,500円
医療費控除後の所得税額 →(610万-医療費控除5万-50万)×20%-427,500=682,500円
所得税還付額 → 692,500-682,500=10,000円
● 妻:給与収入400万、控除額48万(基礎控除のみ)の場合
所得控除 → 400万×20%+44万=124万
総所得金額等 → 400万-124万=276万
所得税額 → (276万-控除額48万)×10%-97,500=130,500円
医療費控除後の所得税額 →(276万-医療費控除5万-48万)×10%-97,500=125,500円
所得税還付額 → 130,500-125,500=5,000円
医療費合計が10万円に満たない場合は、医療費控除申請をすることができません。
夫婦の片方だけが、年収(約)297万円以上の場合
共働きだけど、夫婦どちらかのみが給与収入(約)297万円以上の場合、医療費合計が10万円を超えているなら、収入が多い方が申請する方が断然お得です。
ただし、医療費合計が10万円に満たない場合は、
収入が低い方が申請した方がお得なんです!
正確に言うと、収入が低い方じゃないと申請できない、ということです。
年収(約)297万円以上の場合、医療費合計が10万円を超えないと、医療費控除額は0円になるからです。
でも年収(約)296万円以下なら、医療費から引く額は10万ではなく、総所得金額等の5%なのです。
大体の収入と医療費から引く額を列挙しておきます。
年収 | 所得 | 医療費から引く額 |
---|---|---|
250万 | 167万 | 83,500 |
200万 | 132万 | 66,000 |
150万 | 95万 | 47,500 |
120万 | 65万 | 32,500 |
上の表の「医療費から引く額」を見ると、医療費合計が5万円位しかなくても、年収150万以下位の方なら医療費控除の申請は可能なことが分かります。(保険金等からの補填額が0円の場合)
注意したい点は、年収150万で医療費合計5万円の場合、医療費控除は5万-47,500=2,500円で、この2,500円に税率を掛けた額が還付されるので、
・所得税:2,500×5%=125円
・住民税:2,500×10%=250円
併せて375円位の節税にしかなりません。
この場合、確定申告の準備~申請までの手間を考えると、最低時給は確実に下回るような節税額なのです。
同じ年収150万で医療費合計が9万円の場合は、6,375円の節税になるので、バカにできなくなってきます。
その辺の見極めは、医療費控除の計算ツールなどで試算してみて、それを目安にされるのがいいかと思います。
番外編:「夫婦のお財布は完全に別管理」の場合
うちは共働きでお財布が完全に別なのよ
そんな方もいらっしゃると思います。
その場合は、自分の税金は自分で払うというスタンスかと思いますので、領収書の収集・集計・申告の手間を請け負う方の税金を節税する、ということでいいのではないでしょうか?
もちろん各ご家庭の話し合いによりますが、医療費控除の確定申告はまあまあ手間がかかりますので。
まとめ

今回は、ご夫婦どちらかもしくは両方がお勤めの場合を主に想定して、「医療費控除について」と「夫婦のどちらが申請した方がいいのか」をご説明しました。
◎「医療費控除の対象となる医療費」-「保険金などで補填される額」が10万円を超える場合
⇒ 年収が高い方が申請した方が多く節税できる
◎「医療費控除の対象となる医療費」-「保険金などで補填される額」が10万円以下の場合
⇒ 年収(約)296万以下じゃないと医療費控除を申請できない
※いくら節税できるか?そもそも控除できるのか?は具体的な試算が必要
◎「医療費控除の対象となる医療費」-「保険金などで補填される額」が10万円を超える場合
⇒ 年収が高い方が申請した方が多く節税できる
◎「医療費控除の対象となる医療費」-「保険金などで補填される額」が10万円以下の場合
⇒ 年収(約)296万以下じゃないと医療費控除を申請できない
※いくら節税できるか?そもそも控除できるのか?は具体的な試算が必要
夫婦どちらが医療費控除を申請するか決まったら、事前準備についての記事もご覧ください。↓
妊娠中・産後のご夫婦は特に医療費控除の対象となる場合が多いので、少しでも参考になれば幸いです。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます!